ルサンチマンとは、行為による反撃が不可能なとき、単に想像上の復讐によってその埋め合わせをしようとする者が心に抱き続ける反復感情のことである。だが、ニーチェのルサンチマン概念の特徴は、それが価値転倒と結びつくところにある。手が届かなかった葡萄を狐が恨んだとしても、それはまだルサンチマンではない。酸っぱい葡萄だったのだ、と自分に言い聞かせたとしても、それはまだルサンチマンとはいえない。しかし、狐がもし、そもそも甘いものは健康によくないという思想を持ったとすれば、あるいは、甘いものを食べない生き方こそが本当の生き方なのだという価値を信じたとすれば、そのとき彼は、紛れもなくルサンチマンにとらわれたのである。
狐は価値を創造することなどできはしなかった。そうしないでは生きていけなくなったがゆえに、普遍的に存在する価値にすがりつき、それを異常に重視したにすぎない。彼が重視した価値は、原理的には誰もが知っている価値だったのだ。そうであればこそ、それは甘い葡萄を食べ続けている者たちに対する現実的に有効な報復たりえたのである。


ルサンチマンとは、反感と憎悪を愛と同情に転換する原動力であった。この機制の下では、憎むべき敵はそのまま「可哀そうな」人々に転化する。だから、その「愛」の本質は軽蔑なのだ。「敵を愛する」という倫理には、初発から復讐の倫理が宿っていた。「あなたがたを憎む者に親切を尽くし、誹謗する者に対して神の祝福を求め、侮辱する者のために祈れ。あなたの頬を打つ者にはもう一方の頬も差し出し、上着を奪う者には下着も拒むな。」(「ルカによる福音書」)問題は、何故もう一方の頬を差し出さずにはいられないのか、にある。反撃することができないなら、何故せめて打たれたまま立ち去るだけの力は持ちえないのか。何故、憎む者、誹謗する者、侮辱する者のために何もしないことはできないのか。それができないということの内に、自然過程としてのこの行動原理の成立の秘密があった。仏教は共同体の価値を単に無化するが、キリスト教はそれを敢えて転倒する。そこに両宗教の成熟度の違いがある、と少なくともニーチェは考えていたのだ。

永井均『ルサンチマンの哲学』

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“geophysics これはひどい, politics
大学のOB会で、某セメント会社トップが「何がコンクリートから人へだ、我々は人を守るコンクリートを作ってきたのに」と憤ってました。”
“ad2217 不確実なネットの中で、嘘偽りのない素晴らしいページだ。”

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ブクマ驚異の4k越え

“ 「なんのために書くか」というその目的について、あまりに明確だった。俺は自分の考えていること、感じていることを、身近にいるだれにも伝えることができない。それは、俺が下等な人間であり、かつ卑劣で卑怯で惰弱でクソのような存在であり、俺の言葉はノイズであり、口から出る言葉は毒物であり、それをだれかに伝えたいという欲望はまったくもって罪悪であり、その罪をあえて犯してなにかを口にする勇気もなく、結局のところ行き場を失ったあらゆるものは、ワープロのキーボードに叩きつけられた。伝えなければ死ぬ。表現しなければ死ぬ。人の共感など思いもよらなかった。なんでもいい。自分が考えたこと、感じたことが「ここにある」という事実が表明できればよかった。”

 人の話の聴き方が上手い人には共通する特徴があって、それは列記するとこのようなことだと思う。

 1.人の話をおもしろがって聞く。

 2.なにか広がりそうなところがあると、そこを聞いてみる。

 3.相手がなにを話しても、攻撃的にならず、たしなめ方が上手い。

 4.自分の話もするのだけど、それはあくまで対比としてする。

 5.自分の話をするときは、たいてい、一歩下がった位置でおもしろおかしい失敗譚が多い。

 6.相手が話したがりそうなところを見つけるのが上手い。

 7.話し手を全肯定する。

 8.ちょっとぐらい矛盾があってもつっこまない。

 9.相手の話を否定しない。

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止まれ
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“yellowbell 仕事
「なぜ働くのか?」これは哲学。哲学の問いかけに哲学が返ってくるのは当然。「ヒマつぶし」の先にある地に足のついた考えを引き出すのが対話だが、自分の中に「かくあるべし」がある人は対話への粘りがない。”

しかし、「金儲け=悪」の例のように道徳は社会の変化に遅れをとる。これは道徳を批判・改定することは道徳的でないという、道徳の根本にある同語反復的な構造を考えれば不思議ではないだろう。

どんな道徳を持つべきかについておおっぴらに語ることができないということは、道徳が社会の流れに歩調を合わせられないだけでなく、基本的に大雑把なルールでしかありえないことも意味する(注)。言葉を通じたコミュニケーションなしに複雑なルールに合意することはできないからだ。例えば独禁法は反競争的な企業行動を規制するが、何が反競争的かは簡単には分からない。このような場合には道徳は問題を解決できないだろう。水平合併は悪、垂直合併で善みたいな道徳を想像するのは難しい。経済学と道徳は同じ問題に取り組んでいるとも言え、経済学がしばしば道徳的に批判されることも説明できる。

“種まきどきに学び、収穫どきに教え、冬に楽しめ。
死者の骨の上に車を引き、犁を下ろせ。
過剰の道は、知恵の宮殿に通ずる。
慎重は、無能に言い寄られる年老いた金持ちの醜い処女である。
望みながら行動を起こさない者は、悪疫を生む。
切られた虫は、犁を許す。
水を好む者は、川に浸せ。
愚者が見る木と賢人が見る木は同じではない。
表情に輝きのない者は、星にはなれない。
永遠は、時間の産物を喜ぶ。
忙しい蜂に悲しむ暇はない。
愚者の時間は時計で測れるが、賢人の時間は測れない。
健全な食物を得るのに網や罠はいらない。
飢饉の年には数、重さ、大きさのあるものを作れ。
自らの羽で飛ぶ鳥に高く飛び過ぎるということはない。
死体は傷に復讐しない。
もっとも崇高な行為は、他者に譲ることである。
自らの愚かさにこだわる愚者は、賢人になる。
愚鈍は不正を包む衣である。
羞恥心は自惚れを包む衣である。
牢獄は法の石によって建てられ、売春宿は宗教の煉瓦によって建てられる。
孔雀の自惚れは、神の栄光である。
山羊の肉欲は、神の贈り物である。
獅子の怒りは、神の知恵である。
女の裸体は、神の作品である。
過剰な悲しみは笑いを呼び、過剰な歓びは涙を呼ぶ。
獅子の咆哮、狼の唸り、嵐の海のうねり、破壊の剣は、人間には計り知れぬ永遠の栄光の一端である。
狐は自分ではなく、罠を非難する。
歓びが孕み、悲しみが生む。
男には獅子の皮、女には羊の毛を着せよ。
鳥の巣、蜘蛛の糸は、人の友情。
勝手に微笑っている愚者やむっつりと眉をしかめている愚者は、権威があるように見えるので、賢人だと思われる。
今、証明されているものは、かつては想像されただけに過ぎない。
大鼠、家鼠、狐、兎は根元を見るが、獅子、虎、馬、象は果実を見る。
水槽は包み、泉はあふれ出させる。
一つの思いが無限を満たす。
自分の意思をいつでも明らかにできるようにしておけば、卑しい人間は近寄らない。
信じることができるあらゆるものは、真実を反映している。
烏に学ぶことほど鷲にとってひどい時間の無駄はない。
狐は自分の身を守るが、神は獅子の身を養う。
朝考え、昼行動し、夕方に食べ、夜は眠れ。
人に欺かれるままにされている人は、相手を知っている。
鋤が意思に従うように、神は祈りに報いる。
怒れる虎は訓練された馬よりも賢い。
澱んだ水を見たら毒があると思え。
充分以上のものを知らなければ、何が充分かはわからない。
愚者の非難には立派なお題目がある。
目は火、鼻孔は空気、口は水、髯は大地。
勇気に欠ける者は、奸智に長ける。
林檎が山毛欅に実のつけ方を尋ねることはなく、獅子が馬に獲物の捕え方を尋ねることはない。
贈り物に感謝する者は、豊作に恵まれる。
ほかに莫迦になった者がいなければ、自分がなるべきだ。
歓びに包まれた魂は、決して汚されない。
鷲を見るということは、精霊の一端を窺うということだ。頭を上げよ。
毛虫が一番柔らかい葉に卵を生むように、祭司は最良の歓びを呪う。
小さな花を作るにも、数世代の力が必要だ。
非難は縛り、賞賛は解き放つ。
最良の葡萄酒は最古の葡萄酒。最良の水は最新の水。
祈りを耕すな! 賞賛を収穫するな!
喜びを笑うな! 悲しみを泣くな!
頭は崇高、心臓は悲痛、性器は美、手足は均整
鳥には空、魚には海、卑しむべき者には侮辱。
烏はすべてが黒ければと嘆き、梟はすべてが白ければと嘆く。
充溢は美である。
獅子が狐の意見を聞いていたら、狡猾者になっていただろう
改良は直線的な道を作るが、精霊の道は改良の余地なく曲折している。
満たされぬ欲望を育てるより、ゆりかごにいるうちに殺す方がましだ。
人がいない土地は不毛だ。
真実は、理解されるように語ることはできないし、信じられないように語ることもできない。
   充分に、でなければ充分以上に。”
ウィリアム・ブレイク『天国と地獄の結婚』より「地獄の箴言」 (via hazy-moon) (via placebogirl) (via jinakanishi)
2008-02-09 (via gkojay) (via jinakanishi) (via oharico) (via nemoi) (via kml) (via deductivehappiness)