田村はねえ病気の女の子が好きなの、と彼女は言う。田村はね誰かを救うのが好きなの。私は救われて元気だから今は救うことができないの。もう女の子でもなくて、ずうずうしい大人なの。だから田村はきっとつまらないんだと思う。ちょっと前は会社の不安定な新人の相談に乗っててあやうく泥沼になるところだったみたい、逃げて帰ってきた。
私はようやく口をひらく。そういう話は、わからなくはないけど、でもあなたたちはそれだけで一緒にいるわけじゃないでしょう。それに人を助けたいこと自体は悪いことじゃない、私の会社の後輩と、あと古い友だちにもそういう人がいるよ、あの人たちを私は好きだよ。ピンチになったら呼ぶんだよって、彼らは言う、空を飛んで助けに行くからねって言う、空を飛んで助けに来てねって、私は言うよ。それを悪いことと思わないよ。
ため息と小さい笑いの中間のような音が返ってきて、絆創膏と私は思う。絆創膏を剥がしてください。やっぱり情報量は多いほうがいい。そう言わないうちに彼女は、私たちはそんな他人じゃないのよと言う。そんなね、ちょっとした友だちとか、会社の人とか、そういうんじゃないの。私たちは夫婦なの。私はあの人の伴侶なのにいつまでも助けられる立場になんかいられないでしょう。私はあの人と助けあって生きていきたいのに。